FO-29 周波数変動と衛星温度の推定 #52009年07月04日 20時56分

※「文部省 学術用語集 数学編」の 統計数学 の章によると、
  Variation  ... 変動
  Estimation ... 推定
  とあります。したがいまして、今までの記事の中で 「変化 → 変動」、
 「評価 → 推定」と訳語を差し替えます。タイトルも差し替えました。


吸収率と放射率 の具体的な数値は文献には見当たらなかったが、推定にはこの
二つの値が必要であった。 FO-29 の構体に使われている外材の吸収率と放射率
の初期値が関わっている。FO-29 の外壁は総領域のおよそ 75%が太陽電池セル
で覆われていて、残りの総領域の 25%は明るい反射金属である。衛星の初期吸
収率はおよそ 0.85 と推定され、放射率は 0.48 と設定した。

0.85 と設定した吸収率を使って、換算式 3 を解いて 平均構体温度と比較する
ことにより、テレメトリから算出された四つの構体温度から放射率を計算した。
最終的な最も良い放射率の推測値は、全日照期間になっている時、つまり 衛星
の最高平衡温度の時の 0.58 であった。生のテレメトリと すでに変換されたテ
レメトリの両方とも、ほとんどは AMSAT-BB に提供されたウェブから得られた。
私もまた、ここで使われているテレメトリのいくつかを集めた。生の CW/Morse
コードの全ては、JE9PEL局のプログラム fo29cwte を使ってデコードした[12]。

換算式 3 は周波数変動のほとんど全てを説明しているが、二次(second order)
の変動がまだ残っている(図4)。(訳注:下記換算式 4 を参照)


図4: 標準熱モデルに対する テレメトリから算出した温度のプロットである。
FO-29 の平均温度は、四つの全ての構体温度の単純な平均値として計算される。
二次の不一致が明白である。点線は、期待される最適な 1対1の関係をもつ傾斜
である。

全く経験的な(非科学的な) 二次の最小二乗直線は、テレメトリ算出された線形
様式の熱モデルに一致するように作られる(図5)。


図5: 経験的な線形化の後の補正熱モデルのプロット


Tc は補正された衛星モデル温度で、T は換算式 3 から算出される値。 C は次
の式 (訳注:T の二次式) から追加して算出される値である。

一致相関係数は 0.979 で、標準誤り推定値は 1.412 である。

一軌道あたり蝕比率 0.65~1.0 の範囲に、日照時の評価換算式 3、および補正
した換算式 4 を使うと、合理的と思える補正モデル温度が与えられる(図5)。
293°K の平均衛星温度は、ぴったり shift-sleeve weather (68°F) である。
全日照時に、衛星は 303°K (86°F) で、shift-sleeve weather である。最も
低温の衛星温度は、283.6°K (50°F) である。下記表1は 換算式 3, 4 (R は
1AU[天文単位] に固定) を使った補正モデル温度を表している。極端な R の値
(0.983AU~1.017AU) を使った 評価換算式 3, 4 は、283.6°K ~ 303.1°K の
極端なモデル温度を与える。計算した結果のモデル温度は 大変合理的であるよ
うに見え、そしてこれ以上の調整は必要であるとは考えられなかった。


表1: FO-29 の日照時の軌道における比率% および、単位 Kelvin, Celsius,
Fahrenhelt で この記事中で表記している補正モデル温度を表している一覧表。
                                 (続く)

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